今週は黒潮生物研究財団の理事会が大阪で行なわれました。 その後、ステラケミファ株式会社泉工場会議室で平成20年度の研究成果講演会があり、4名の研究発表を聞きました。
この研究発表会は当財団が公募で受け付けた研究テーマに対して我々理事会で審査して興味ある研究に20万円の助成金を出して研究の補助をし報告を受ける事になっている。今、大学も不景気で研究費が余り無いので、若い研究者や院生に少しでも研究費用を補助したいと専務理事の岩瀬さんからの発案で1昨年から行なわれています。
今年の発表
① ケシャムルティ・シャシャンク博士 生物多様性研究中心中央研究院台湾Academia Sinica
申請時 高知大学大学院 黒潮圏海洋科学研究科
タイトル 粘液を介したサンゴと周辺海水中の細菌群集の相互作用
「目的」 サンゴの主要な分泌物である粘液は細菌類の増殖基質となっていて、ある種の細菌群に対しては抗菌作用を持ち、増殖の抑制因子として機能している事が分かってきた。
近年、細菌によるサンゴの病気や白化が大きな問題になっている。サンゴはどのような防御機能を働かせているのか明らかになっていないので本研究では、その粘膜に注目しサンゴの健康状態に因って粘液の化学組成の変化や一般細菌や白化や病気の原因の細菌群に対してどのような影響を及ぼすのかを調べる。
② 石原 孝 (D2) 東京大学大学院 農学生命科学研究科
タイトル 黒潮流域のアカウミガメの年齢推定
アカウミガメは日本で産卵し孵化した子供が太平洋を渡りアメリカ大陸の西側で成長し日本に再海遊して産卵している事が分かってきたので、それらが成熟して日本に戻ってくる年齢を昨年日本沿岸で死亡して発見された50匹の個体から生殖線から性及び成熟度を調査した結果の報告
タイトル 四国サンゴ礁における褐虫藻検出に関する研究~サンゴ内及び周辺環境からの検出
「目的」 サンゴに共生する褐虫藻にはCladeと呼ばれる遺伝的タイプが存在しCladeごとに生理的特長が異なり、サンゴの環境耐性をも左右されると考えられる。しかしサンゴはどの種も自然環境から褐虫藻を獲得するので、その環境にどのようなCladeの褐虫藻がどのくらいの量存在しているのかを海水中とサンゴより抽出して調べる。
④ 渡邊 美穂 (M2) 東海大学大学院 海洋学研究科 水産学専攻
タイトル 四国西南海域における造礁サンゴ幼生加入の季節変化に関する研究
「目的」 四国西南海域における造礁サンゴ幼生加入について季節変動を把握する為に定着板を産卵の行なわれる春から秋に掛けて設置し着床する、サンゴの幼生の種と数を時期別にモニタリング調査し定着量を調べる。
どの研究も興味深いものが多く、内容は書き記せないが引き続き続けて欲しいと思うものであった。