インスピレーション4

●分圧

酸素が関係する反応、例えば燃焼の激しさは、単純に酸素の濃度だけでは決ま
りません。例えば、陸上で純酸素(酸素濃度100%)の中でロウソクを燃やす
より、Enriched AirNitrox32(酸素濃度32%通常より濃い濃度)で絶対圧を5気圧(水深40m相当)まで上げたチャンバーの中でロウソクを燃した方が、燃え方はずっと激しいのです。

酸素分圧をコントロールするコントローラー

空気のように、複数のガスで構成されている混合気体の場合、それぞれのガス
の圧力は、全体の圧力をガスの比率によって分けた値になります。この比率に
よって分配された圧力のことを分圧と言います。

泡が無いので近寄れる

例えば、陸上(絶対圧1気圧)の空気が酸素21%、窒素78%、その他の気体
1%で構成されているとした場合、酸素の分圧は0.21気圧、窒素の分圧は
0.78気圧、その他の気体の分圧は0.01気圧となり、それらを合計すると
1.0気圧となります。

全体の圧力が高くなった場合は、それぞれの分圧も同じ割合で増加します。
水深10mまで潜った時に呼吸している空気は、絶対圧が2気圧ですから、
その時の酸素分圧は0.42気圧(0.21×2)、窒素分圧は1.56気圧(0.78×2)と
なります。(その他の気体は0.02気圧となり、合計が2.0気圧となるワケです)

気体が関係する反応の激しさは、分圧によって決まります。
最初の例を考えると、絶対圧5気圧の EAN32 の酸素分圧は1.6気圧(0.32×5)
となり、陸上での純酸素の1気圧の1.6倍になります。従って、燃焼は
絶対圧5気圧の EAN32 内の方が陸上の純酸素の中より、
ずっと激しくなるのです。

#分圧に関する知識は酸素の毒性の影響を予測する際に必要となります。

★酸素分圧は PO2 という略語であらわされます。
PO2=Partial pressure of oxygen

その時の分圧は、酸素3気圧x0.21=0.63で窒素は3気圧x0.79=2.37になります。
20mをダイビングしていると水面の3倍の分圧の酸素と窒素を吸収します。

このキャニスターがCO2を吸収します

インスピレーションを使った潜水では20mのボトムに行くまでは0.7の酸素分圧でボトムでは酸素は1.3の分圧で窒素は1.7になります。 吸収する窒素の量は0.67すくなくなります。

これが40mに行くと5気圧になります。この場合の空気のタンクは0.21x5で酸素分圧1.05で窒素は0.79x5で3.95となります。 インスピレーションは酸素は1.3の分圧で窒素は3.7になります、窒素の吸収は0.25しか変わりません。
 
反応後のソフノライム

50m地点では、6気圧で酸素は0.21x6=1.26 窒素は0.79x6=4.74 となりインスピレーショーンの酸素1.3窒素4.7とほとんどメリットが見れないような数値になります。

しかし、ここから浮上していく間の窒素は30mでは空気は4気圧で酸素0.21x4=0.84で窒素は0.79x4=3.16に対しインスピレーションは酸素1.3に窒素は2.7となり、20m3気圧1.7となり
減圧症のリスクとなる窒素の吸収量が浮上に伴い劇的に減ります。

タマゴを持ったニシキフーライウオ


ここでインスピレーションの利点として一定の酸素濃度に保つ事で、酸素中毒にならないという事も言えます。
酸素分圧1.6以上の酸素を吸う事で、中枢神経が影響を受ける酸素中毒と肺を含む全身性酸素中毒があります。 と言う事は空気のタンクで70m以深にもぐると言う事は8気圧x0.21で酸素分圧1.68となり、減圧症のリスク以外に酸素中毒のリスクも抱えることになります。

今回の講習では最大水深40m未満の安全なダイビングを完璧になるまで繰り返します。 
まず、自分の使う器材は自分で念入りにチェックし組み立てる。 操作の間違いの無いように、繰り返し練習する。
 


万一の故障時に、対処する方法や解決策を瞬時に判断する手順をあらゆる想定で繰り返し身に付ける。危機から自力で脱出出来なければ死のリスクは避けられない。
 

今回トレーニング中に水中にいるほうが楽じゃないかという気持ちになり、潜水停止になりました。
酸素なのか窒素なのかは定かでは無いが、このまま竜宮城に行ける様な気分になりそうなところを友人達に呼び戻されてなんとか無事に浮上出来ました。
 

皆ありがとう。  おかげでまた沖縄に講習に行く事になりました。



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