海水魚店にとって、お客様に足を運んで頂く為の努力とはなんだろうと考える。お店の規模や、設備のレベルに差が有るのでひとえに明確な答えは出ないと思うが、基本的には生き物を見に来る人が大半なので魚やサンゴのコンディションを良く管理しているお店や、幅広く在庫しているお店にお客様は足を運ぶでしょう。しかしながら、水槽の数も少ないしスペースの少ないお店はどうすればいいのだろうか?
我々も始めた頃は同じような事で悩みました。私は趣味で海水魚を買っていた訳でもないので、初めは師事を仰いだ方にお任せしていたのですが、開店前日にやっと海水を張り骨サンゴの新品濾材を入れてスーパーバイオバクテリアを入れて、コバルト200匹入れて1ヶ月から半年で水を作ると教えられました。明日から商売を始めるのにこんなんで出来るのかと思いましたが、最初の仕入れ50万分は1週間も持たずにすべて死んでしまいました。プロショップを開店させるのに濾材くらい漬け込んでいないなんて信じられんと気づいた時は遅かったということです。
この経験から、お客様の受注を受けた水槽の濾材は事前にお店の水槽に漬けて用意するようにしました。平成6年当時はまだ海水魚を扱う専門店は少なく、熱帯魚店に行っても海水魚は難しいから止めときと言われる時代でした。熱帯魚に較べてバクテリアの繁殖が遅いので立ち上がりが悪く、シポラックスなどの超高価なガラスリング濾材を使っても中々アンモニア、亜硝酸が無くならないのでこんな物かと思っていたのですが、ベルリンシステムが普及し始めた頃に、考え方が180度変わっていきました。
当時は10坪も無い店舗で水槽の数も少なくミドリイシサンゴもあまり無かったと言うよりは飼うことが出来なかったというのが正しい時代でした。大阪では阪神熱帯魚が全盛期を過ぎた頃とはいえ凄く、ミナミ海水魚という問屋やけど小売をバンバンしているお店も有力でした。ただ沢山在庫出来る水槽のない分、良い生態やレアな魚を無理してずいぶん仕入れました。ココス、ホツマツ、レスプレ、キャンディーバスレット、レンテンなど今で言うプチレア種は揃える様に心がけていました。
その時から仕入れさせて頂いていたのが川崎のマリンエンゼルの戸上さんで素人の私にいろいろと教えていただいたことが今に役立っていると思います。そのような魚を常に在庫する事でお店としての知名度も少しずつ上がり、関西近県や遠方からもお客様がお見えになり、今もお付き合いしていただくような良い関係を継続させていただいています。
海水魚の魅力を例えるなら、彼女みたいな物、一目惚れして連れて帰りたくなってしまう、仕事に行ってもいじめられてないか、ちゃんと餌食べてるか心配になる。それが、ハラハラしなくなるとアクアエンゲル係数が下がってしまう物。
私は、常にお客様がハラハラする。雪風さんなら「ハァハァ」いうような良い娘を揃えること、常にご来店のお客様にサプライズな出会いを提供出来れば、パトロールに来られる回数は増えるのでは無いかと考えます。
ブラジル産のクィーンの安売りを競争するよりは、少し高くてもフロリダ産の青いクィーンを売る方が、違いの解るお客様を集める事に成るでしょう。特に地方の小売店ほど、そうしたほうが良いと思います。
BHも九州、沖縄、北海道、仙台などには空港渡しなどでレア種をお客様に送る事が多いのですが、お客様は地元では見る事が出来ない、手に入れることが出来ないという方が殆どです。
売るほうもハラハラしながら仕入れする方が真剣に設備をしなければとか、水質はとか神経を使う分、得る事が多いと思います。
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